非破壊試験とは、“物を壊さずに”その内部のきずや表面のきずあるいは劣化の状況を調べ出す検査技術のことです。
弊社では、コンクリート中の配筋かぶり状態及びかぶり測定を初めとし、微破壊・非破壊試験による新設コンクリート強度測定(超音波法、表面2点法)などに取り組んでいます。
主に、電磁レーダー法、電磁誘導法の2種類の測定方法があります。配筋の被り厚さ及び間隔を測定いたします。国土交通省、ネクスコ、建築、各自治体などにて、規格などがかわります。
国土交通省
参考文献:非破壊試験によるコンクリート中の配筋状態及びかぶり測定要領
測定場所・測定数量など
対象構造物と測定断面数など
対象構造物 | 橋梁上部工 | 橋梁下部工 | 重要構造物のボックスカルバート |
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測定断面数 | 一径間あたり 3断面 | 柱部 3断面(注1) 張り出し部 2箇所 | 1基あたり 2断面 |
試験方法 | 電磁誘導法 | 電磁レーダー法 | 電磁誘導法 電磁レーダー法 |
適応範囲 | – | – | 内空断面積25㎡以上 |
(注1)・・・打継目においてコンクリート打設前に主筋のかぶりを段階確認時に実測した場合には、実測付近の中段、上段の測定を省略することができる。
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橋脚、橋台など上図のように、上・中・下と3断面に区切ります。その時の断面の形が「四角形」「小判型」「円形」などの形状により測定数量が変わります。
上部工も断面の形状により測定数量が変わってきます。 -
内空断面積が25㎡以上の場合測定をしなければなりません。測定場所につきましては、現場状況(埋め戻している)など検討し、協議の上数量は変えずに測定場所を変更することも少なくありません。上図では、右側だけの測定になっていますが、左右交互に測定することもあります。
現場測定
使用機械につきましては、上部工・・・電磁誘導法 下部工・・・電磁レーダー法 にて測定いたします。
現場測定前に、対象構造物の設計緒元(形状、鉄筋径、かぶり、間隔など)事前に確認します。対象物の60㎝×60㎝ 以上の範囲を探査します。探査結果を現地にケガキます。赤矢印のようにデータを採取し、持ち帰りデーターの解析を行い、合否の判定結果及び報告書を作成いたします。
電磁誘導法では、鉄筋間隔が設計かぶりの1.5倍以下の場合補正が必要となります。基本的には、テストブロックで測定機の精度を確認し特には補正の必要は無く測定されたデーターがそのまま 判定の基準になります。これに比べ電磁レーダー法は、コンクリート中の水分量によりかぶり厚が変わるため、深度校正という土木研究所方式の補正が必要になります。よって、現場測定の場でご報告できるのは、補正前の測定値になります。
判定基準
項目 | 配筋状態(鉄筋の測定中心間隔の平均) | かぶり |
---|---|---|
判定基準 | 上限:設計間隔+鉄筋径+10mm以下 下限:設計間隔-鉄筋径-10mm以上 |
上限:(設計値+鉄筋径)×1.2以下 下限:(設計値-鉄筋径)×0.8又は 最小かぶり×0.8のいずれか大きい値以上 |
現状の非破壊試験の測定技術においては、実際の鉄筋の位置に対して測定誤差が発生する。このため、非破壊試験においては、測定誤差を考慮して判定基準を定めている。「判定基準」では、この測定誤差の精度を、鉄筋の測定中心間隔の平均値については±10mm、かぶりについては±20%以内であるとして、「規格値」よりも緩和した値としています。よく誤解されやすいのが、最小かぶりです。道路橋示方書に記載されています。設計値のかぶり厚と誤解されやすいです。
ご不明な点などお気軽にお問い合わせください。
日本高速道路株式会社(NEXCO)
参考文献:コンクリート施工管理要領内のコンクリート構造物(非破壊試験による管理)
測定場所・測定数量など
橋梁上部構造
圧縮強度 | 検査ひん度 | 測定箇所 |
---|---|---|
床版 | 1箇所/10m(橋梁延長) | 床版上面(下向き) |
I桁、T桁 | 2箇所/本 | 桁側面(横向き) |
箱桁(支保工施工) | 3箇所/10m(橋梁延長) | 桁内のウェブ側面及び 下床版上面(上床 版は床版による)*注 |
箱桁(張出し施工) | 3箇所/ブロック | 桁内のウェブ側面及び 下床版上面(上床 版は床版による)*注 |
壁高欄 | 1個所/10m | 壁高欄上面(天端) |
鉄筋かぶり | 検査ひん度 | 測定箇所 |
---|---|---|
床版 | 2箇所/10m(橋梁延長) | 床版上面及び下面 |
I桁、T桁 | 2箇所/本 | 桁側面(横向き) |
箱桁(支保工施工) | 3箇所/10m | ウェブ側面(外側)及び 下床版下面(上床 版は床版による)*注 |
箱桁(張出し施工) | 3箇所/ブロック | ウェブ側面(外側)及び 下床版下面(上床 版は床版による)*注 |
壁高欄 | 2箇所/10m | 壁高欄内側及び外側 |
橋梁下部構造
圧縮強度 | 検査ひん度 | 測定箇所 |
---|---|---|
床版 | 4箇所/ロット | 2側面を上下2箇所 |
フーチング | 2箇所/基 | フーチング側面 |
鉄筋かぶり | 検査ひん度 | 測定箇所 |
---|---|---|
橋脚、橋台の躯体 | 4箇所/ロット | 側面 |
その他
圧縮強度 | 検査ひん度 | 測定箇所 |
---|---|---|
カルバートボックス | 1箇所/50㎡ | 頂版または側壁 |
トンネル覆工 | 3箇所/スパン | 天端及び側面 |
鉄筋かぶり | 検査ひん度 | 測定箇所 |
---|---|---|
カルバートボックス | 1箇所/50㎡ | 頂版下面または側壁 |
*注 張出施工における上床版の強度確認は1ブロックに1箇所、 また鉄筋かぶりの確認は1ブロックに2箇所と読み替えるものとする
下部工におきましては、柱部の側面を1打設に付き、4箇所測定します。1箇所での測定内容は、手前側の鉄筋10本を測定し、平均値にて判定します。
上部工では、断面により測定場所など変わってきます。
現場測定
使用機械につきましては、特に指定されていません
設計かぶり70mm以下・・・電磁誘導法 設計かぶり70mm以上・・・電磁レーダー法 にて測定する事をお勧めいたします。
各機器により、長短所ありますので、測定場所により使い分けされるのをお勧めいたします。
現場測定前に、対象構造物の設計緒元(形状、鉄筋径、かぶり、間隔など)事前に確認します。使用機器につきましては、特に指定が無ければ、機器の性能上設計かぶりが70mm以下の場合は、電磁誘導法、70mm以上の場合は、電磁レーダー法にて測定することをお勧めいたします。手前側鉄筋のかぶりを10本測定します。
- 電磁誘導法の補正方法
- 鉄筋による磁場の変化からかぶりを推定いたします。鉄筋の配筋状態が異なると、磁場の影響が異なるため測定誤差の要因となります。方法としまして、鉄筋の上に25mm程度の板をおき、25~125mmの測定をし補正率を算出します。通常現場におきましては、設計かぶりに近いテストブロックを用意し、補正量を算出しているようです。
- 電磁レーダー法の補正方法
- 電磁波が鉄筋から反射してくる時間によりかぶりを測定します。コンクリート中の水分量により測定値が変化します。供試体を用いる場合、設計値と同じ配筋で供試体を作成し、供試体の測定値が実際の数値になるように比誘電率を調整します。供試体を作成せずに、鉄筋径から比誘電率を求め補正する方法があります。
独立行政法人土木研究所のホームページに公開されている方法によって補正する方法があります。
判定基準
項目 | 判定基準 |
---|---|
かぶり | 10本の平均値が「(設計かぶり-許容施工誤差)×0.80以上であれば合格とする。 下限:(設計値 - 10mm)×0.8 非破壊試験における上限の表記はありません。 |
ご不明な点などお気軽にお問い合わせください。
建築
参考文献:建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事
適用範囲
この方法は、構造体コンクリート中の深さ方向80㎜以内における鉄筋位置を電磁誘導法により測定する場合に適用する。
測定に用いる器具
測定装置
測定装置は、測定値本体と探査センサとから構成されるものとする。測定値本体と探査センサーの一体型も含む
測定値本体
測定値本体は、送信波の発振器、電気的信号を処理する装置、表示装置などで構成され、その機能及び性能は表1によるものとする。
装置本体の性能
項目 | 性能 |
---|---|
測定方法 | 電磁誘導法 |
面内位置の測定誤差 | ±10mmまたは探査距離の±1.0%以下 |
走査方向の分解能 (判別可能な2つの鉄筋の空の最小値) |
75mm以下(深さ方向50mmまで) かぶり厚さ×1.5倍以下(深さ方向80mmまで) |
かぶり厚さの測定範囲 | 最小10mm以下、最大80mm以上 |
かぶり厚さの測定誤差 | ±2mm以下(深さ方向50mmまで) ±3mm以下または、かぶり厚さの±0.5%以下(深さ方向80mmまで) |
かぶり厚さの分解能 | 1mm以下 |
現場測定
使用機械につきましては、電磁誘導法にて測定いたします。
探査センサを走査線に沿って走査し、鉄筋の面内位置を確認した後かぶり厚さの測定を行います。測定装置の使用に際しては、点検及び校正を行い上表の性能に満足することを確認します。
供試体のかぶりを変えながら測定し補正の係数を求めます。かぶり厚さを測定する前に測定する鉄筋の面内位置を確認します。走査線に沿ってかぶり厚を測定します。
装置本体の性能
項目 | 判定基準 |
---|---|
かぶり | 判定基準は、測定した値より平均値(X)、標準偏差(s)、最大値(Xp)、最小値(X1)を求め、最大値の検定(Gp)及び最小値の検定(G1)を求めます。 計算式は、Gp=(Xp-X)/s,G1=(X1-X)/sとなります。 グラッブズの検定の棄却限界値(5%棄却限界)「JIS Z 8402-2」、以下であれば合格となります。 |
その他、各自治体の場合
参考文献:各自治体の規定に準じます。
規格がない場合は、国土交通省規定に準じる場合が多いです。
ご不明な点などお気軽にお問い合わせください。
外部供試体を作成し、コンクリートの強度を求めます。国土交通省、及び各自治体によって、規定に準じます。
参考文献:微破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領
測定場所・測定数量など
橋梁下部工
対象部位 | 試験方法 |
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フーチング部 | ボス供試体による試験 ※工程等に支障が無い場合には、小径コアによる 試験を実施しても良い |
打設回数ごとに1回の試験を行います。1回の試験に用いる供試体の数は1個使用します。ただし、1構造物部位が1打設で施工される場合には、1構造物部位あたり2供試体でおこないます。よって、測定箇所数を算出するには、打設時期、打設量などを考慮する必要があります。また、コンクリート配合が異なる場合には、その都度規定の測定回数で行わなければなりません。
※1 強度推定値が設計基準強度以上であることが確認できた場合は、1打設ロット当たりの測定測定数を1測線としてよい。ただし、1測線の強度推定値が設計基準強度を下回る場合は、3測線の測定を行うものとする。
注)フーチング部における微破壊試験による測定の供試体数について()内は、外部供試体による試験の場合、<>内は、小計コアによる試験の場合の供試体数を示す。
取り付け指導
測定者の要件
(社)日本非破壊検査協会が実施するNDIS3424「ボス供試体の作成方法及び圧縮試験方法」の講習会を受講した者、又は受講したものから指導を受けた者となります。ただし、指導を受けたものは、当該現場に限り測定を行うことが出来ます。よって、以前指導を受けたものが別の現場で作業を行う際には、再度指導を受けなければなりません。
型枠設置後、コンクリート打設前に当社より指導員が指導にお伺いいたします。その際、現場の状況を考え2~3人程度参加していただきます。最初に測定要領についてご説明いたします。その後、実際に現場で取り付け指導を行います。その際、型枠の一部を切り取りますのでご準備をお願いいたします。
ボス型枠のご注文は千代田建工㈱さまにて直接完成品をご購入いただくことをオススメしています。ボス型枠は、再利用が可能ではありますが、組立ての際に調整機が必要になります。また、変形した部品、消耗品など準備する必要があります。再利用などして出来た供試体は、圧縮試験を行う際すべての辺長を測定しなければなりません。
取り付け指導
項目 | 内容 |
---|---|
コンクリート打設後 | ボス型枠は、現場工程に可能な限り、躯体に付いたままにしてください。工程に支障をきたす場合は、ボス型枠を取り外しビニールシートなどで覆い、現場近くで封緘養生してください。 |
試験日 | 28日に圧縮試験を行います。 ボス型枠を再利用した場合は、各辺長の測定を行わなければなりません。 |
ご不明な点などお気軽にお問い合わせください。
衝撃弾性波法(表面2点法、iTECS法)とは、コンクリート表面に打撃を与え、衝撃の跳ね返ってくる時間を測定し強度を推定いたします。
超音波法とは、コンクリート表面に端子を接触させ、超音波の伝わる時間を測定し強度を推定いたします。
国土交通省、及び各自治体によって、規定に準じます。
参考文献:非破壊試験によるコンクリート構造物の強度測定要領
測定場所・測定数量など
対象 | 対象部位 | 試験方法 |
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橋梁上部工 | 桁部 | 非破壊試験(衝撃弾性波又は、超音波) ※非破壊試験において判定基準を満たしていない場合には、小径コア試験を実施 |
橋梁下部工 | 柱部、張出し部 | 非破壊試験(衝撃弾性波又は、超音波) ※非破壊試験において判定基準を満たしていない場合には、小径コア試験を実施 |
打設回数ごとにに1回の試験を行います。1回の試験に付き3測線(3箇所)の測定を行います。打設回数が増えるたびに試験回数を増やしていきます。また、合否の判定を行う際に、基本といたしまして3回以上の試験で判定ロットを構成し合否の判定を行います。しかし小規模の現場で、1打設、2打設しかない場合は、2回の試験結果で判定ロットを構成します。コンクリート配合が異なる場合には、その都度規定の測定回数で行わなければなりません
※1 強度推定値が設計基準強度以上であることが確認できた場合は、1打設ロット当たりの測定測定数を1測線としてよい。ただし、1測線の強度推定値が設計基準強度を下回る場合は、3測線の測定を行うものとする。
注)フーチング部における微破壊試験による測定の供試体数について()内は、外部供試体による試験の場合、<>内は、小計コアによる試験の場合の供試体数を示す。
取り付け指導
強度推定式の作成
実際に現場にて測定するものは、躯体に衝撃を与え、その伝わる時間を計測し、速度を算出し推定強度を求めています。よって、強度を求めるための推定式を作成しなければなりません。
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- 供試体測定
- 1配合に付き、4材齢のデーターを測定します。1材齢に付き3本使用しますので計12本必要になります。得られたデーターより推定強度を算出いたします。
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- 現場測定
- 打設回数ごとに1回の試験を行います。1回の試験に付き3測線(3箇所)の測定を行います。打設回数が増えるたびに試験回数を増やしていきます。
合否判定
項目 | 内容 |
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合否判定 | コンクリート配合、打設時期、打設量等から季節ごとに判定ロット判定するためのグループ分け)を行い、推定強度を算出します。3回の場合は、 強度平均値が設計基準強度以上2回、4回以上の場合は、 強度平均値が下限値以上 であれば、合格となります。 |
ご不明な点などお気軽にお問い合わせください。